ボトラーズウイスキーとは 有名ブランドと銘柄を紹介
ウイスキーについていろいろ調べたり、いくつか銘柄を飲んでいくと出会うこの単語。
よくわからないという方も多いのではないでしょうか。
今回はそんなボトラーズについて解説していきます。
ボトラーズとは
まず、ボトラーズって何?という質問に対して簡単に回答するなら、
「蒸留所とは別の独立した会社によって原酒が樽買いされて、ボトリングされるもの。」
このような会社のことを インデペンデントボトラー といいます通称 ボトラー です。
そんなインデペンデントボトラーによってボトリングされて発売されているウイスキーのことをボトラーズと呼びます。
それに対して、「蒸留所もしくは蒸留所のグループ会社によって蒸留、熟成、ボトリングまで行われるもの。」
これを、オフィシャルボトル といいます。通称 オフィシャル です。
スコットランドではその昔、ウイスキーは樽で発売されていました。
酒類の販売店や飲食店、百貨店などが原酒を購入し独自にボトリングをしていた歴史があります。
ボトラーズブランドやブレンデッドウイスキーはこの流通の仕組みがもとになって生まれました。
ボトラーズの魅力
ではボトラーズから発売されたウイスキーには何ができてどんな魅力があるのでしょうか。
私の思うボトラーズの特徴、魅力を簡単に説明しますと、
オフィシャルには基本的に決まった熟成年数で、決まった度数のものだけが発売されていますが、
ボトラーズであればオフィシャルとは異なる熟成年数のものが飲めたり、
異なる樽の種類を使ったものが飲めたり、
度数が高いものやカスクストレングスがあったり、
ブレンデッド用の原酒として使われるためオフィシャルのシングルモルトが出回らないものがあったり、
時にはそのブランドでしかできないブレンドがされていたりします。
基本的にボトラーズは少量生産のものが多く、人気の蒸留所のものはすぐに売り切れてしまうことも珍しくないです。
つまりボトラーズにはウイスキーの世界をより広く、深く、面白くする仕組みが詰まっているのです。
続けて、有名なボトラーズブランドを紹介します。
有名なボトラーズブランド
歴史も長く有名なボトラーズブランドはどこ?と聞かれたら、
ゴードン&マクファイル社(GM社)
ケイデンヘッド社
この二つを挙げます。
他には入門におすすめだったり、人気のところという意味では、
シグナトリービンテージ社
ダグラスレイン社
をおすすめします。
では6選を紹介します。
ゴードン&マクファイル
ゴードン&マクファイル社は(通称GM社)は、1895年から創業している老舗のボトラーズです。
原酒のストックは非常に膨大で長期熟成ものもたくさん保有しています。
様々な蒸留所と深い信頼関係があり、本当に多くの蒸留所のウイスキーをボトリングし販売しています。
特に、ゴードン&マクファイルといえばマッカランという方もいるくらい、マッカランとの関係の深さは有名です。
マッカラン蒸留所はゴードン&マクファイル社に原酒を売り払ったあと、そこで熟成が行われた原酒の買戻しを行うこともあるそうです。
つまり、ゴードン&マクファイル社のその熟成の仕上がりに関してマッカランから絶大な信頼が寄せられています。
現在4つのシリーズが主に発売されています・
- プライベートコレクションシリーズ
- コニサーズチョイスシリーズ
- 蒸留所ラベルシリーズ
- ディスカバリーシリーズ
それぞれを簡単に説明します。
・プライベートコレクションシリーズ
マイナーな蒸留所や閉鎖蒸留所のシングルモルトが発売されているシリーズです。
ローズバンクや、グレンロッシーなどのマニアックな蒸留所がボトリングされる超熟がメインの高級志向のラインラップとなっています。
・コニサーズチョイス
こちらはGM社のメインとなるシリーズです。
このシリーズは種類が豊富で約100種類の蒸留所のウイスキーが発売されています、品質とコストパフォーマンスの良いシリーズなのでGM社がどんなボトラーズなのか知るのにいいシリーズかと思います。
・蒸留所ラベルシリーズ
GM社と蒸留所は信頼関係が深いと説明しましたが、この信頼関係の表れがこのシリーズです。
このシリーズは蒸留所のオフィシャルとほぼ同じ見た目のボトルで販売されてるのですが、それは蒸留所側から認められた品質があるからこそだといえます。
・ディスカバリーシリーズ
比較的最近できたシリーズです。
ボトラーズの入門的な位置づけのこのシリーズは、3つのジャンル分けがされています。
バーボン、シェリー、スモーキーの3つの分類があります。
ボトルデザインからその3つの特徴を見分ける事が出来るようになっています。
比較的安価な物が多いのでウイスキー初心者でも手を出しやすい価格帯となっております。
ウィリアム・ケイデンヘッド
ケイデンヘッド社は、1842年にスコットランドで創業した世界最古のインディペンデントボトラーです。
1972年にスプリングバンク蒸留所を所有するJ&Aミッチェル社に経営がかわりましたが、それまで100年以上創業一家で経営されてきました。
着色(カラーリング)と冷却ろ過(チルフィルタード)を決して行わない事がケイデンヘッド社のポリシーとなっていて、自然体のウイスキーを提供するという170年間変わらない考えが今でもしっかりと残っているインディペンデントボトラーです。
現在発売しているシリーズは5種類です。長くなるので詳細は割愛します。
- ブラックラベルシリーズ
- ゴールドラベルシリーズ
- チェアマンズストック
- オーセンティックコレクション
- スモールバッチシリーズ
シグナトリービンテージ
シグナトリービンテージは、1988年にアンドリューとブライアンのシミントン兄弟がエジンバラに設立したボトラーズです。
フルネームは、シグナトリー・ヴィンテージ・スコッチ・ウイスキー社といいます。
他の樽と混ぜ合わせない(ヴァッティングを行わない)事が特徴で、希少価値の高い蒸留所のウイスキーをいくつも輩出しています。
とても信頼のおけるボトラーズであることは間違いありません。
現在発売しているシリーズは2種類です。
- ノンチルフィルターシリーズ
- カスクストレングスシリーズ
その名の通り、ノンチルフィルタードシリーズはシグナトリービンテージ社のポリシーでもあるノンチルフィルタードでボトリングを行っているシリーズで、安価ながら品質は非常に高いシリーズです。
カスクストレングスシリーズもその名の通り、すべてカスクストレングスでさらにノンチルフィルタードでボトリングを行っています。こちらもスペックから考えるとコストパフォーマンスに優れたシリーズです。
ダグラスレイン
ダグラスレインは1948年にグラスゴーで設立されたボトラーズです。
経営は2013年に弟のフレッド・レイン氏が引き継ぎました。
ブレンダーの一面があるダグラスレイン社は、シングルカスク以外にブレンデッドウイスキーも展開しています。
シングルモルトとしての基準に満たない樽を使ってブレンデッドウイスキーを製造し、品質に妥協しないリリースをしています。それはつまり価格を抑えつつ品質も高いブレンデッドが同時に作られるということでもあります。
ダグラスレインは3つのシリーズが発売されています。
・リマーカブルリージョナルモルトシリーズ
このシリーズにはご存じの方も多いビックピートという有名なボトルがあります。地域別にその特徴が表れたモルト原酒をブレンドしリリースしているシリーズです。
各々の地域の特徴を楽しむ事ができ、比較的安価なので個人的にも大好きなシリーズです。
・オールドパティキュラー シリーズ
2013年に経営が弟に移り、新生ダグラスレイン社となったことでできた新しいフラッグシップモデルシリーズです。
48.4度および51.5度という、こだわりの度数を選定し、各樽の原酒がそのポテンシャルを最も発揮できるタイミングでボトリングされています。
・プロベナンスシリーズ
46%まで加水をしたリーズナブルなシリーズです。
2016年より、価格はそのままにラベルを一新し、シングルカスクでボトリングされるようになりました。
キングスバリー
キングスバリー社は、1989年よりスコットランド・アバディーンにて設立されたボトラーズです。(前身はイーグルサムと言う会社名)
これまで数々の歴史に残るウイスキーを輩出してきたボトラーズです。
2012年にスプリングバンク蒸留所の創業一族のゴードン・ライト氏が代表として就任しました。
キングスバリーは「ヴィンテージ」をコンセプトとしています。
熟成の過程も重要ですが、そのウイスキーが生まれたその瞬間に重点をおきたい、という想いがあるようです。
なのでラベルには熟成を始めた年(ヴィンテージ)を記載しています。
安価なラインが少なく、高級志向のウイスキーが販売される傾向のあるブランドです。
その分クオリティの高いボトルが多いです。
スコッチモルトウイスキーソサエティ(SMWS)
1983年に英国エディンバラの港町、リースで設立された会員制のウイスキークラブです。
入会した会員のみが、SMWSのウイスキーを購入する事が出来ます。
他のボトラーズとは少し違った雰囲気があります。
「熟成されていたままのウイスキーを。」というソサエティ設立当初からのポリシーがあり、ウイスキーは加水でボトリングされています。
また、ラベルには蒸留所が記載されていないのが特徴です。
記載されているのは、ソサエティの大きなロゴマークと蒸留年月、熟成年数、瓶詰年月、アルコール度数、そして蒸溜所コードと樽番号です。
蒸留所の名前はありませんが蒸留所コードの記載はあります。
これには蒸留所ごとの先入観に囚われずにウイスキーそのものを楽しんで欲しいというソサエティの考えがあります。
入会費・年会費は1万円かかりますが、それだけの価値のあるブランドです。
入会せずに飲みたいという方は、ソサエティを扱っているBARに行くか、
東京汐留のパークホテル内に「ザ ソサエティ」というソサエティ専門のBARがあります。
私もそこには行ったことはないのですがぜひ一度行ってみたいと思っています。
まとめ
ボトラーズウイスキーは生産量が少ないものが多いので、その出会いは一期一会です。
しかし、ボトラーズの面白さはマニアックな面が強いので、それを味わうためにはオフィシャルボトルをたくさん飲んで蒸留所特徴や地域の傾向がわかってからのがいいと思います。
もっと広く深い世界を知りたいと思ったら色んなボトラーズウイスキーを試してみてほしいです。
皆さんのウイスキーライフがより良いものになりますように。