ジャパニーズウイスキーの定義が決定! 内容解説します
2021年 2月 12日に日本洋酒酒造組合からジャパニーズウイスキーの表示についての基準が制定されました!
2020年に日本洋酒酒造組合の理事長が「2021年中にジャパニーズウイスキーの定義を決める」と発言していました。
それが現実になったということです。
ご存じない方からすると、今まで定義すらなかったの?と思われるかもしれませんが、
なかったんです。
どういうことかというと、
ボトリングされたウイスキーの中身がほとんど海外の原酒で構成されていたり、そもそも日本で蒸留、熟成された原酒が入っていないとか、
さらにはウイスキーにスピリッツ、醸造用アルコール(甲類焼酎など)が混ぜられているなんてこともあります。
これは日本のウイスキーの事情をある程度知っている方からすれば今や当たり前の話なのですが、ウイスキーを飲み始めた方や、普段あまり情報を調べたりしない方はご存じないと思います。
これに関して日本洋酒酒造組合は問題視していました。
売られているウイスキーの中身の規制までは難しいとしてもせめてその表記だけでも定義しようとなったのが今回の「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」という制定です。
公式でその内容のPDFが発表されていますのでここに添付しておきます。
「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」
今回はその内容について解説します。
どんな制定?法律?自主基準?
今回発表された基準は日本洋酒酒造組合の自主基準です。
これを発表した目的といえばもちろん、市場での販売における混乱や誤解を避けるためにあります。
漢字2文字が筆文字でラベルに書かれていれば中身が何であれ海外で(日本でも)高く売れるなんてことは珍しくありません。
これは本当によくないことです。
日本洋酒酒造組合は日本で洋酒を販売しているメーカーのほとんどが加盟していますので、実質今回の制定によってジャパニーズウイスキーの定義が決まったということになります。
施行は2021年4月1日からです。自主基準なので罰則などはありません。
とはいえ、いきなりすべてのメーカーがそれを遵守することは難しいので、3年間の経過期間が設けられています。
中身の細かい話は次の項でお話ししますが、要するに何が決まったかというと、
ジャパニーズウイスキーかそうでないかがわかるようにラベルに表記すること
ということになります。
どんなのもがそのジャパニーズウイスキーに当てはまるのかを次に解説していきます。
ジャパニーズウイスキーの定義
内容について正確に詳しく知りたい知りたい方は上にも貼ってありますが。
「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」
こちらをご覧ください。
ここでは定義の内容をなるべく読みやすく解説していきます。
定義の要点は5つ。公式文章では「製法品質の要件」と書かれた内容になります。
- 原材料は麦芽を必ず使用し、日本国内で採取された水を使用すること。
- 糖化、発酵、蒸留は日本国内の蒸留所で行うこと。
- 原酒を700リットル以下の木樽に詰め、日本国内で3年以上貯蔵すること。
- アルコール度数は40度以上で日本国内で瓶詰めすること。
- 色調の微調整のためのカラメルの使用を認める。
これについては見てその通りって感じですね。
1文で要約すると、
日本の原料で、日本で作ったものだけ使って、3年は熟成してね。 ってことです。
続いて、表記の方法についても決まりがあります。
- ジャパニーズという言葉とウイスキーという言葉は一体的に表示するものとし、二つの言葉の間にほかの用語を入れて表示することはできない。
- 日本ウイスキー、ジャパンウイスキーなどの同義語で表示する場合があっても製法品質の要件を満たしていなければ表示することはできない。
- 製法品質の要件を満たしていなければ日本を思わせる人名、都市名、地域名、名称地名、山岳名、河川名、日本の国旗、元号を表示することはできない。
- 製法品質の要件に該当するかのように誤認させるおそれのある表示はできない。
- 製法品質の要件に該当しないことを明らかにする措置をしたときは、この限りではない。
これも読んでその通りなのですが、要約すると、
- ジャパニーズ○○ウイスキーはダメ、
- 似てる紛らわしい単語もダメ、
- 地名や山の名前でごまかすのもダメ、
- 該当してるかのようにだますのもダメ、
- でも、ジャパニーズウイスキーの要件満たしてないよって書いてあればOK
ということになります。
定義に当てはまってる銘柄は?
この定義が施行される前の段階でジャパニーズウイスキーの定義に当てはまっている銘柄は何があるのか。
この情報も公式で発表されていますのでお伝えします。
大手メーカーのサントリーとニッカを取り上げてみます。
山崎、白州、知多、響、季(TOKI)、ローヤル、スペシャルリザーブ、サントリーオールド
ニッカ
余市、宮城峡、竹鶴、カフェグレーン
(各年数物や限定生産品、蒸留所限定販売品なども含みます。)
こう見ると思ったより少ないなって思いませんか?
いわば今までのジャパニーズウイスキーは海外原酒を使用することは決して珍しいことではないことがわかっていただけたかと思います。
個人的にはジャパニーズウイスキーだけではなく、ウイスキーという表記についても規制をしてほしかったな、という想いがあります。
いわゆる、スピリッツや醸造用アルコールの入った混ぜ物ありのお酒をウイスキーと呼んでいいのかと常々思っています。
ウイスキーファンとして皆様が誤解なくいいウイスキーを飲んでほしいという想いもあります。
なので今回このニュースをぜひ記事にしたいと思って書かせていただきました。
皆様のウイスキーライフがより良いものになりますように。